なんだろう?なぜだろう?
なんだろう VOL.19
これはなんだろう?何につかっていたのかな?
長さ約12cm,幅約3cm,穴の直径約3mmです。
扁平な石の一方の長い辺に刃がついています。
昔に人にとって収穫のときには欠かせないものでした。
こたえ:弥生時代の磨製石包丁(ませい いしぼうちょう)です。
写真に写ったものは,東広島(ひがしひろしま)市東広島ニュウータウン遺跡群(西3地点遺跡)から出土した石包丁とよばれる凝灰岩質(ぎょうかいがんしつ)の石でつくられた,半月形の扁平な磨製石器で,弥生時代に稲などの穀物(こくもつ)を収穫する穂摘み具(ほつみぐ)として使われたものです。
石包丁の名前は,アメリカ大陸の北方地域で生活していた人々が包丁として便っていたウーマンズ・ナイフに形が似ていることから,明治時代に付けられましたが,現在でも考古学の用語としてそのまま使われています。
使い方は,中央にあけられた穴に紐(ひも)を通し,そこに指を入れて握り,稲などの穀物の穂を摘み取ります。鎌(かま)で根元から刈り取るの比べると手間のかかる作業ですが,実った稲から順に収穫ができる便利さもあったようです。なお,穴は1個のものと2個のものがありますが,使い方は同じです。
石包丁は,大宮遺跡のほか,広島市中山(なかやま)貝塚,三次市塩町(しおまち)遺跡など,県内全域の弥生時代の遺跡から出土しており,各地で米作りが盛んに行われていたことがうかがわれます。