第3回研究テーマ「まがたま」の秘密!?
【勾玉 (まがたま) の形ってどんな意味があるの?】
勾玉は,C字形に曲がった玉で,一端に穴があいています。
勾玉の「勾」という字は,「曲がる」という意味があります。
-なぜこんな形をしているのだろうか?-
原型は,今から約1万年前頃(縄文時代)に見られる動物の牙にあなをあけて,身につけたものだと考えられています。その動物には,ニホンオオカミやツキノワグマ,イノシシなどが使われています。
これらの動物の牙は,美しいだけではなく,狩りをする人々にとって特別な意味を持っていたことでしょう。
【碧玉】
比婆郡口和町
金田第2号古墳出土
【水晶】
比婆郡口和町
金田第2号古墳出土
【めのう】
比婆郡東城町
雨連古墳出土
この形を石で作り,形を整えたのが,勾玉の始まりとの説が有力です。
この牙説の他に,胎児説や人間の臓器説などもありますが,その形は,縄文時代から,弥生時代へ,時代や地域によって形の差異はありますが,今から1,400年前頃(古墳時代)まで,作り続けられました。その材料には,ひすいや碧玉(へきぎょく)・めのう・水晶(すいしょう)といった色の美しいものが好まれました。
どうやって作っていたの?
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原石を粗くほどよい大きさに割っていきます。ハンマーは硬めの河原石を使います。おおよその形ができたら、次は石の端に押し付けて細かくはぎとり、形を整えます。
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石の表面を磨いてきれいにしながら勾玉の形に近づけていきます。最初は目の粗い砥石(といし),仕上げは目の細かい砥石を使います。背の部分を磨くには筋砥石と呼ばれる何本もの太めの筋が入った砥石を使い、腹側は内磨き砥石と呼ばれる棒状の砥石を使っていました。
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勾玉の形ができたところで、きりで穴をあけます。鉄のきりが使われるようになったのは弥生時代の終わりころで,それより前は石のきりで穴をあけていました。
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最後につやを出すために仕上げの磨きをして,ようやく完成です。
研究室からひとこと
勾玉のほかにも,管玉(くだたま)や切子玉(きりこだま),棗(なつめ)玉,丸玉,小玉などさまざまな種類があります。
実際に玉に触ってみると,形だけでなく,石の硬さからも,作った人の「技術」の高さが想像できます。専門の技術者が集まって,玉を作った工房跡が全国各地で見つかっています。
中国地方では,島根県玉湯(たまゆ)町の出雲玉造(いずもたまつくり)遺跡が有名で,碧玉や水晶などの石を材料とした玉作りが行われていました。
弥生時代には玉類の見つかる例が少ないため,ムラのリーダーや祭りを行う人など限られた人が身につけていたようです。
貴重な玉類を身につけることは,「美しさ」以上に,お守りとして,あるいは力の強さをアピールするための気持ちの表れと考えられています。