ひろしまの遺跡 第88号 |
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![]() 遺構配置図 |
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製錬炉は,上段平坦面南側の吹屋(金属を製錬したりする工場)跡と想定される整地面から8基が検出され,形状は直径30〜50cm,深さ10〜20cmほどの鉢形をしていました。また,下段平坦面からは上部構造が一部遺存する製錬炉も検出されました。 焙焼炉は,調査区北側の西斜面上から等高線に沿ってほぼ一列に並ぶ状態で13基が確認され,規模は直径60〜80cm,深さ40cmほどでした。
遺跡周辺の地には,「寺尾銀山」の名が伝承として残っていました。調査の結果,江戸時代前半期の主に銅製錬に使用された2種類の炉跡を確認することはできましたが,銀製錬については明らかになりませんでした。 しかし,今回の調査により焙焼炉や製錬炉の構造,使用法が明らかになってきたことは大きな成果といえます。とりわけ上部構造を伴う製錬炉については,近世期の炉跡としての調査例も少なく興味深いものがあります。今後,鉱滓等の分析と考察,また,周辺の製錬施設等との関連を検討するなかで,寺尾遺跡の位置付けがより明確になっていくものと考えられます。 (松崎 哲・恵谷泰典)
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![]() 塊状の鉱滓 |
![]() 板状の鉱滓 |
![]() 出土した鉱石 |
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