なんだろう?なぜだろう?
おしえて 埋蔵文化財 その8
保存処理って,どんなことをするの?
遺跡を発掘調査していると,出土遺物のなかには風化したり,錆びてこわれやすくなったり,もろくなっていたりするものが見つかることがあります。
こうした遺物を,こわれないよう後世に残していくためには,なんらかの手立てを施す必要があります。それを保存処理といいます。
では,ここでは鉄製品の場合を見てみましょう。
①これは,錆びや汚れが本体を大きく覆っている保存処理前の鉄製品です。 | ②はじめに,現在の状況を写真や図面に記録しておきます。 | |
③つぎに,グラインダーなどを使って,土や錆びを取り除きます。 |
ここまでは,基本的な手作業の仕事です。
このあとは,強力な助っ人の登場です。
④長い間,土のなかに埋まっていた鉄製品は塩分を多く含んでいるので,アルカリ性の水溶液やアルコールなどの薬品を使って,塩分を抜き取ります。 | ⑤その後,錆びてもろくなった鉄製品に,アクリル樹脂をしみ込ませて強化します。 | |
⑥また,破片があれば接合し,欠けた部分があれば補強剤を使って,仕上げます。 |
こうして保存処理された鉄製品は,湿度や温度が一定に保たれるケースに入れて,大事に保管します。
また,場合によっては,真空パックにして,空気に触れさせないようにすることもあります。
それは,土器や石器などの遺物に比べると,まさにVIP待遇の扱われ方なのです。
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