ひろしまの遺跡 第93号

遺跡ピックアップ
〜平成15年度に刊行する報告書から@〜
みたち第2号古墳 謎の竪穴式石室?


埋葬施設の痕跡
(方形の穴と底に敷いた礫)
 みたち第2号古墳は豊田郡本郷町本郷に所在し,平成13(2001)年に発掘調査が行われました。径12m・高さ2.5mの円墳で,周囲に円筒埴輪が巡っていました。古墳から土師器・須恵器・鉄鏃・刀子・管玉・ガラス小玉のほか,金銅製冠の破片が出土しました。築造時期は5世紀後半頃と推定されます。死者を埋葬する施設は大きく破壊されていましたが,方形の穴の底に礫を敷いた面が残っており,礫の上には木製の棺が存在したのでしょう。問題は,棺を保護する部屋の構造です。最初は横穴式石室であると考えましたが,途中で竪穴系の埋葬施設ではないかとの考えが浮上してきました。古墳周辺には,破壊された際に出た薄い板石が多数見られ,石で蓋をした施設であることは確実です。「竪穴式石室」と考えても,すべて石で作った室かどうか,特に壁に関しては不確実です。石のほか一部は土あるいは木を使用していたとも考えられ,「木槨」(棺を収めるため角材などを組んで作る)に近い構造の可能性もあり,今後の検討が必要です。