ひろしまの遺跡 第79号

 広島県高等学校文化財セミナーの高校生27名のみなさんは8月4日〜6日の3日間,三次市の県立歴史民俗資料館を中心に見学・研修を行いました。
 5日には,当センターが発掘調査を行っている大谷遺跡(双三郡三良坂町)で発掘に挑戦しました。調査員からグループごとに住居跡などの遺構が分担され,それぞれ掘り下げていきます。遺物が見つかるかもしれないので,ていねいに土を掘り進めていきますが,なかなか遺物が見つかりません。土器のかけらを見つけたグループからは歓声があがりました。短時間ではありましたが,一緒に掘っていると,どのグループからも作業に取り組むひたむきさと熱心さが感じられました。
 ほんの一部ですが,感想を紹介しましょう。
・ 短時間だったにもかかわらず,なかなか土器のかけらすらでてこないことを知り,発掘調査をすることがどれほど大変かわかりました。でも,土器のかけらを見つけたときの喜び!!遠い昔につくられ,そこに住んでいた人達が使っていて,それを自分が掘りおこしているのだと思うと,ただもううれしくて,暑さも疲れもどこかにとんでいったような気がしました。
・ 生まれて初めての発掘。思った以上に大変な作業で,よっぽど好きでないとできない仕事だと感じた。出てくるか出てこないか分からないのにコツコツと地道に土を掘り続ける… 。根気が必要!!“宝探し”ではないけど,やっぱり発見したときには正直,宝物をみつけたみたいで嬉しいと思う…。
 暑さと掘り出した土の重さ,斜面での作業に悪戦苦闘しながら,豊かな自然のなかで,それぞれいろいろなことを感じ,考えてもらえたのではないでしょうか。
(阿部由貴子)